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はじめに
残念ながら私は無駄に試験回数を重ねて、やっとのことでCCIE Lab(R&S)試験に合格することが出来ました。今後受ける皆さんが、無駄な時間とお金を使わなくていいように3回以内で受かるはずの勉強方法を書いてみます。

Blueprint
まず出題範囲を理解することが重要です。このBlueprintに書いてあることはすべて出るという前提で勉強します。Cisco Documentationからそれぞれの項目を探し出してPDF形式で保存しておくとオフラインでの勉強に役立つでしょう。Cisco Pressなどの書籍やRFCなどももちろん熟読します。

実習
おおよその知識を得たら、機材を使って学習を始めます。INEIPexpertのワークブックを使うのが一般的です。私はINEを利用したので、これ以降はINEでの話となります。

INEのワークブックはVolume 1から4までありますが、1と2があれば大丈夫です。1が各技術毎の詳細な実習、2が20のフルラボでの実習となります。そして、いきなりワークブックのVolume 2(フルラボ)を使ってはいけません、Volume 1から始めます。最初からVolume 2を使うと、それぞれの技術の理解が中途半端になります。私はこれで失敗しました。

ただ、いきなりのフルラボがどれだけ難しいかを実感するためにVolume 2, Lab 1をとりあえず試してみるのもいいかもしれません。レンタルラックを使うと準備が簡単です。私は初めて試した時にあまりの複雑さに泣きそうになりましたが、Lab 1が最もレベルが低い問題と知り絶望的になりました。このLab 1のレベルは10段階で5ですが、実際のCCIE Labはレベル7程度と感じる方が多いようです。私もレベル7と感じました。

ちなみにフルラボは初めての場合、答えを見ながらコマンドを入力しても2-3時間は軽くかかると思います。

フルラボの複雑さを理解したらVolume 1を使い、各技術(Switching, RIP, OSPFなど)を一つずつ時間をかけて理解することから始めましょう。こちらの方が結果的に時間はかからないはずです。

まず最初にスイッチから始めます。L2が正しく設定できないとルーティングやその他のものはまったく設定ができないといって過言ではありません。Catalyst実機を使い、時間をかけて繰り返し練習を行います。

その後はRIPやOSPFなどのルーティングに進みます。CCIE Labではスイッチとルーティングで100%取れないとほぼ合格はありません。基本的な技術はもらさずに理解することが重要です。

その後MulticastやMPLS、QoSへ進むわけですが、さらに恐ろしく時間がかかります…。まだこんなにも覚えることがあるのかと思うことでしょう。

Volume 1を一通り学習した後にVolume 2のフルラボに挑戦してみます。lab 20までありますが、もちろん時間の許す限り、繰り返し実習を繰り返します。Lab 20まですべて、答えを見ずに出来るようになるのが理想的です。

勉強をしているとよく分からない点が当然のことながら出てきます。この時に重要なことは、調べるときにGoogleなどの検索エンジンは使わないということ。なぜならば、試験中に検索は出来ないから…。オンライン上のドキュメントはいつもCisco Documentationからリンクを辿って調べる癖をつけましょう。Cisco Documentationは非常に複雑な構造で、理解するのに時間がかかります。普段から利用していると、試験の時にあれはどこにあるのか、ということで悩まずにすむでしょう。もちろん勉強中はCisco PressやRFCからも調べます。

対策クラスを受けてみる
独学は効率が悪いので、周りにCCIE保持者がいない場合は一度は対策クラスを受けることをお薦めします。ただ何も分からない状態で受けてはお金の無駄ですので、Volume 1を一通り勉強して、Volume 2を少し試してからがいいでしょう。普段疑問に思っていた点などをまとめて講師に質問すれば、充分に元は取れると思います(私は受けていないので希望的観測ですが)。またCCIE合格者がどのように設定を行うかということを目の前で見ると、自分のレベルがよく把握できるはずです。

トラブルシューティング対策
INEのワークブックであればVolume 4がトラブルシューティングとなります。デバグコマンドの解説がすごく役立つのですが、私はVolume 4はなくても問題ないと思います。通常の勉強時にあえてこのコマンドを入れないとどうなるか、Aと入れるべきところをBとするとどうなるかという練習を普段から繰り返すことで対応出来るようになるためです。

試験を受けるレベルを計る
自分の気分で試験を受ける日を決めてはいけません。必ず受けてもいいレベルになったことを確認してから、試験日を設定します。理解が浅い状態で試験を受けると、問題内容そのがまったく理解できずに終わる可能性が高いのです。一度試験内容がまったく理解出来ない様で、終了時間を待たずに帰ってしまった方がいました。わざわざ外国から受験のために新宿へ来たようでしたが…。

自分のレベルを計るためにはMock Labが適当でしょう。試験とまったく同じように30分の休憩を挟み、合計で8時間。CiscoDocだけを使って試してみます。これで60点程度取れれば試験を受けて問題ないレベルです。なぜ実際の合格点である80ではなく60点かというと、Mock Labは実際の試験よりも難しく、そして実際の試験まで弱点を復習できるからです。ちなみに私が最後に受けたときは58点でした。

試験を受ける
実際に試験を受け始めたら、合格するまで毎月受け続けることをお薦めします。半年など期間を置くと、試験の感覚を取り戻すことに時間を取られますのでお薦めできません。1回目、2回目の試験後にじっくり勉強が出来る時間が必要です。最低3ヶ月は仕事が忙しくない、または適宜休みを取れる期間を用意しましょう。

試験1回目
とにかく、試験問題を注意書きを含めて繰り返し読みましょう。何をしてよくて、何をしてはいけないのかをよく理解出来るようにします。各々の問題だけを見るとそれほど難しくはないのですが、それが前後の問題にどの様に関連してくるかという点が重要です。そして問題をできる限り細かい点まで記憶します。もちろん試験終了後はそのまま落ち着ける場所に移動して、記録します。

また当然のことながら試験会場の利用環境が、自分が普段行っているものと異なります。端末の設定方法等を確認しましょう。フォントのサイズなどを変更することが可能です。

結果はほとんどの場合、終了後12時間以内に届きます。セクション毎の配点を見て、何が正解でどこが間違いであったかを推測します。ひと月後の試験まで、このテスト問題をすべて解析してシミュレーションを繰り返しましょう。ちなみに合格した場合には配点比率は届きません。

試験2回目
2回目は問題をひと通り解き、1-2時間の見直し時間を持つことが目標です。もちろん問題はできる限り記憶して記録します。

そして1回目と同じように、テスト内容をすべて解析してシミュレーションを繰り返します。二度受けると凡その試験パターンが読めるようになるはずです。

試験3回目
3回目はもちろん、合格を目指します。問題をよく読んで慎重に設定を行います。とにかく一ヶ所でも間違いがあると修正に時間がかかる場合があるので、見直しの時間を計算して確実に進めましょう。

終了後はもちろん、不合格という最悪の結果に備えて問題を記録します。合格するまで気を抜かず受け続けることをお薦めします。一度休んでしまうと元に戻すのがとにかく大変なので…。

おわりに
最後になりますが、もっとも重要な事は"メゲない気持ち"だったりします。合格するまで長期間、勉強を続けるのは本当に大変なことです。集中的に時間を作り、Lab試験のための勉強開始から1年半以内くらいで合格を目指すのが望ましいでしょう。