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この日は仕事が終わってからジムへ。ウェイトトレーニングを終え、ランニングマシンへ。この時点で21時直前だった。

マシーンの前にはテレビがあり、音声はヘッドフォンで聞くことができる。この日特に観たい番組もなかったこともあり、とりあえずフジテレビ前のマシンを確保した。

走り出してすぐに致命的なミスをしたことに気がつく。21時から始まるドラマの予告が流れた時だ。そのドラマとは「1リットルの涙」。

このドラマ、雑誌の紹介で可愛い女の子の可哀想な話と知っていたので今まで避けてきたのだった。観たら泣いてしまうに決まっている。案の定、知人のブログには毎回このドラマで号泣すると書いてあった。

そしてそのドラマが今から始まってしまう、しかも最終回。

ランニングマシンでぜぇぜぇ走りながら、ドラマを見て泣く30歳代の男。どう考えても絵にならない。

どうする、マシーンを変えるか?しかしそれも面倒…。ということで音声チャンネルを別の番組に変えることで対処した。しばらくしてドラマは始まったが、さすがに音がないとちらちら見ても悲しくはならない。助かった、無事にトレーニングを終了する。

走った後はジャグジーで汗を流す。そしてその後は休憩室のソファーで涼みながら新聞を読むのが定番である。実はこの部屋にもテレビがあるのだが、まさか野郎達があのドラマを観ているわけはないと思っていた。

しかし休憩室に行くと、流れていたのはそう「1リットルの涙」。そしておじさんふたりがいる。誰もいなければチャンネルを変えるが、当然それは無理だ。

ひとりはテレビをじっと観ていて、もうひとりは新聞を読みながらちらちらと観ている。ひょっとしてこのふたりは家ではゆっくり観られないから、ここにいるのかも…。

どうする?休みたいし、新聞も読みたい。

そして私は強行突破した、そうドラマを無視して新聞を読もうとしたのである。しかしこの部屋は音声がスピーカーで流れている。いやでも内容が耳に入るのだ。そして母親役の薬師丸ひろ子が主人公の手紙を代読するシーンが始まるところであった。

「ごめんね…」という手紙が読み上げられる。無視したいが、出来ない。30秒ほどして耐えられず、新聞を置き休憩室を出た。仕方なくロッカー前のベンチで涼む。結局ゆっくり休むことは出来なかったが、1滴の涙も流さずにすんだ。

あ〜危ない危ない、世の中は危険でいっぱいだね。